レンジファインダーカメラ「Contax IIa」は、クラシックなレンジファインダーカメラの中でも、特にデザインが美しく、いかにもレンジファインダーカメラというデザインです。
Contax IIaは、1950年~1961年に戦後の西ドイツで作られました。ツァイス・イコン(Zeiss Ikon)社製の名機です。レンズは「Sonnar 50mm F2」です。世界最高のレンズメーカー製のレンズは最高に美しいです。アナログカメラなので、70年以上経った今でも、フィルムを入れれば写真を撮ることができます。 デザインが素晴らしく僕のお気に入りのガジェットの一つです。質の良いガジェットを集めるきっかけにもなりました。
このContax IIaは、1998年頃、中古カメラ店にて約10万円で購入しました。お店でメンテナンスされていたので撮影することはできると知ってましたが、当時僕にはアナログカメラで露出の知識が無かったので撮影することができませんでした。
しかし、それから約20年が経ち、デジカメやスマホの時代になると、カメラの知識があまりなくても、ネットで調べることができ、簡単に適正露出を調べられるようになったので、撮影に挑戦してみることにしました。
※この記事は2016年4月16日に公開しましたが、写真の撮り方の手順とレンズの外し方の手順を一部訂正し、絞り値とシャッタースピードの決め方を追記、リライトする文言を追加して2024年8月29日に再度公開しました。
「Contax IIa」外観
Contax IIaはツァイスイコンの戦後の名機です。
戦前のContax IIに改良を加え、コンパクトになり、シンクロ接点が追加されました。
このContax IIaは、前期モデルの1950年~1953年製で、通称「ブラックダイヤル」と呼ばれています。
目立つ傷はなく、とても状態がよく綺麗です。実際に問題なく写真を撮ることができます。
レンズは標準の「Sonnar 50mm F2」です。
レンジファインダーカメラのレンズはコンパクトなのが特徴です。
ボディ正面、レンズの左側の上部には、フォーカシングギア&無限遠ロックレバーがあり、その下には、レンジファインダー窓があり、さらにその下は、セルフタイマーレバーがあります。
レンズの右上には、ビューファインダー窓があります。
レンズの上には、「Contax」と刻まれています。
ボディ上部の左側に巻き戻しノブ、中央にアクセサリーシュー、右側にシャッター関係がまとまったダイヤルがあります。
アクセサリーシューには、Contax IIaが生産された都市「Stuttgart (シュトゥットガルト/西ドイツ)」の刻印があります。
巻き上げノブの上部には、フィルムの感度覚えも備えていますが、ASA(ISO感度)は200までしかありません。
シャッター関係がまとまったダイヤルは、一番上(中央)からレリーズボタン(シャッターボタン)、フィルムカウンター、巻き上げノブ、速度ダイヤルです。
シャッタースピードの数字が前期型ではすべて黒文字で記されていたので通称「ブラックダイヤル」、1954年から発売された後期型ではシャッタースピードの数字が黒と黄色と赤に色分けされた為、通称「カラーダイヤル」と呼ばれています。
ボディ裏側には、接眼窓(左)、ストロボ接点 シンクロ接点(右)があります。
「ブラックダイヤル」のシンクロ接点は、現代のストロボ用のシンクロコードは使えません。ストロボ用には「No.1366」、フラッシュバルブ用には「No.1360」の専用シンクロコードが必要になります。
後期型「カラーダイヤル」のシンクロ接点は一般的なDIN規格になったため、現代のストロボ用のシンクロコードが使えます。
裏蓋には、「ZEISS IKON」と刻まれています。
ボディ底面です。
両サイドに裏蓋ロックキー、左のロックキーの隣に巻戻しボタン、光軸上(レンズの真下)に三脚ネジ穴があります。
「Contax IIa」の使い方
フィルムの入れ方
まずは裏蓋を外します。
底板の両端に裏蓋ロックキーがあるので、2箇所共ロックキーを起こして矢印の方向へ回転が止まるまで半回転させます。そして裏蓋を下にスライドさせて外します。
左側にパトローネ室、右側にフィルム室があり、中央は鎧戸シャッターです。
フィルムの巻き上げ軸を「スプール」と呼びます。これが欠品していたらフィルムを装填できません。
「Contax IIa」のスプールの形には3種類ぐらいあり、このスプールは、斜めになった切り欠きにフィルムの先を引っ掛けるタイプです。
切り欠きの中に、フィルムの穴をかける爪があります。
フィルムの先端の穴を爪に引っ掛けます。フィルムの向きに注意します。
左側のパトローネ室にパトローネを入れ、右側のフィルム室にスプールに巻きつけたフィルムを入れます。巻き上げノブを時計回りに巻きながら上下の歯車がフィルムの穴に噛んで、フィルムが張るまで巻きます。
裏蓋を閉め、更に巻き上げてシャッターを切ります。これを2~3回繰り返します。
最後にフィルムカウンターを0に合わせます。
写真の撮り方
追記:2024年8月22日
シャッタースピードの設定は、シャッターチャージ(フィルムの巻き上げ)の前にします。
シャッターチャージ後は、シャッターの駆動部品に負荷がかかった状態のため、その状態でシャッタースピードを変えると、負荷も変わり、部品が破損する可能性があります。
手順が違ったからといってすぐに壊れるわけではないですが、シャッターチャージをしたあとは、できるだけシャッタースピードを変えない方が望ましいです。
巻き上げノブで、フィルムを巻き上げます。
シャッタースピードと絞りを調節して露出を決めます。
シャッタースピードは、巻き上げノブの外側の速度ダイヤルを持ち上げて数字を矢印に合わせてから落とします。そして巻き上げノブを回してフィルムを巻き上げます。
絞りは、レンズの絞りリングを回し、数字を矢印に合わせます。
ピント合わせは、被写体にカメラを向け、接眼窓を覗くと窓の中央に像が二重に映し出されています。
構図を決めたら、矢印のフォーカシングギアを回し、二つの像を重ねるとピントが合います。
二つの像が重なりピントが合いました。
あとは、シャッターボタンを押すと写真が撮れます。
追記:絞り値とシャッタースピードの決め方
Contax IIaで撮影をするにあたり、初心者が困るのは「絞り値(F値)」と「シャッタースピード」の決め方です。スマホやデジカメで撮影すればフルオートで綺麗な写真が撮れますが、クラシックカメラは自分で適正露出を決めなければならず、露出計を買うのも高価です。そこで、※デジカメを使えば簡単に適正露出を調べることができます。ただし多少の露出の知識は必要です。※デジカメの機種によってはできないものもあります。
適正露出を調べるには、まずデジカメのISOをContax IIaに装填したネガフィルムのISOに合わせて固定します。その状態でカメラを被写体に向けると適正露出がわかります。
ただしPモードでは、Contax IIaで設定できない数値も表示されるので、先にシャッタースピードをContax IIaで決めてから、その数値をデジカメのシャッタースピード優先モードで入力して絞り値を出し、Contax IIaでその絞り値に合わせます。
ただしカメラによって暗めに写るなどの傾向があったりするので、試し撮りをして露出を調整した方が良いです。
「① ISO入力」「② シャッタースピードを決める」「③ 絞り値が決まる」
写真はデジタルカメラNIKON D5500を使用
フィルムの取り出し方
底面の巻き戻しボタンを押しながら、巻き上げノブを時計回りに巻き続け、止まるところまで巻きます。
裏蓋を開け、スプールの爪にかけてあるフィルムを外してから、フィルムがすべてパトローネに収まるまで、更に巻き上げれば完了です。
レンズの外し方
押しバネを押しながら、レンズを右に回せば外れます。
レンズを外す時はまずレンズの距離目盛を∞無限遠に合わせます。
矢印の押しバネを押しながら、レンズを正面から見て時計回りに回し、そしてレンズ側の赤い印とマウント側の赤い印を合わせれば外れます。
レンズマウントから中を覗くと鎧戸シャッターが見えます。
レンズをはめるには、レンズ側と本体側の赤い目印を合わせてはめ込み、反時計回りに回します。
現像したフィルムのデジタル化
現在、フィルムの現像のみは、1本24枚撮りでも36枚撮りでも600円ぐらいです。その現像したフィルムを専用のスキャナーを使えば、フィルム写真のデジタル化ができます。
フィルムのデジタル化はこちらの記事を参考にしてください。↓↓↓↓
「contax IIa」作例写真
こちらの写真は、「Contax IIa+Sonnar 50mm F2」で撮影したネガフィルムを、EPSON GT-F740でデジタル化したものです。
さいごに
クラシックなレンジファインダーカメラで撮影したフィルム写真は、独特な味があります。
カメラは現在、デジカメが主流になり、綺麗な写真をデジタルで簡単に撮れる時代になりました。
クラシックな銀塩カメラ(フィルムカメラ)は、露出やピント調節、フィルムの装填など全て手作業で手間がかかり、気軽に使えませんが、写真を撮る楽しさがあります。戦前や戦後のカメラでも、構造や規格は現在もほぼ同じなので、メンテナンスをして物理的に壊れなければ、半永久的に使うことができます。
そしてお店で現像さえすれば、自宅でフィルム対応スキャナーで簡単にデジタル化をする事もできます。
露出はフルマニュアルですが、市販の露出計を使えば適正露出を測れます。
興味のある方は、ぜひレンジファインダーカメラで撮影してみてください。すごく楽しいですよ。
追記:当記事が下記のブログで紹介されていますので参考にさせていただきます。